共同不法行為

交通事故に限った話ではありませんが法律に「共同不法行為」というのがあります。分かりやすいように交通事故の例で説明しましょう。

 A車両とB車両が出会い頭で衝突しました。A車両にはCさんが搭乗していました。3人ともが怪我をしました。この場合、誰が誰に怪我をさせた責任があるのか考えて見ましょう。先ずは過失割合を考えずに、AさんはBさんの過失によって怪我をしたことになります。BさんはAさんの過失によって怪我をしたことになります。
では、Cさんはどうでしょう。A車両に乗っていたのだからAさんの過失といえるのかも知れません。しかし、Bさんに責任がないといえるでしょうか?

この場合Cさんは単なる被害者になります。Cさんが怪我をしたのはAさんとBさんの両方の過失によって起きたことは間違いありません。言い換えればAさんBさんの共同行為によってCさんは怪我をしたことになります。この状況を「CさんはAさんBさんの共同不法行為によって損害を被った」と表現します。

次に過失がA20%B80%と仮定します。Aさんの怪我の責任はBさんに80%ありAさん自身に20%あることになります。つまりCさんが怪我をした責任の20%がAさんにあり80%がBさんにあることになります。
この場合Cさんは損害をそれぞれ過失分をAさんBさんに請求してもいいのですが共同不法行為で損害を被った人はどちらかに100%請求することができます。一旦どちらかが立て替えをして相手の過失分を後に請求することになります。例えばCさんがAさんに100%請求した場合はAさんはBさんに80%請求することが出来ます。
AさんBさん間で過失が協議される間時間が掛かることあります。もし、過失が少ない方に請求をしてはならないルールがあった場合はお互いの過失が決まるまでCさんは損害を誰にも請求できなくなってしまいます。被害者救済の観点からもこのようなルールがあるともいえます。

ひき逃げされた時

Bさんが逃げてしまった時
  この事故でもし、Bさんが逃げてしまった時CさんはAさんに迷わず請求することができます。ではAさんはどこに請求したら良いのでしょう?
  Aさんの保険契約内容にもよりますが人身傷害保険に加入をしていた場合はAさん加入の保険会社がAさんに支払をしてくれます。もし、人身傷害保険に加入していなかった場合は政府保障事業に請求することが出来ます。CさんはAさんから賠償を受けることができるので政府保障事業には請求出来ません。

減額される時

共同不法行為の場合自分が搭乗していた車の運転手に請求をした場合減額されることがあります。上記の例でいうならば、CさんがAさんに損害を請求した場合です。これは必ずしも減額されるものではありません。『好意同乗』が適用される場合です。

 好意同乗とは、CさんがAさんの車に乗っていた目的によって決まります。Cさんの目的で同乗していた場合は好意同乗とみなされ減額対象になります。
 
例えばCさんが駅まで行きたいのでAさんにお願いをして乗せてもらった場合はAさんの好意によって無料でCさんは駅まで行くことが出来ます。Cさんが駅に行く目的の為に運行されているのでこの場合は好意同乗となります。

これがAさんの道案内の為に同乗していた場合Aさんの目的の為に同乗していたので好意同乗とはなりません。
  この他、友達同士で旅行に行った時好意同乗となる場合があります。この場合は車の所有者が経費を全額負担していた場合は、所有者の好意と判断し好意同乗として同乗者が怪我をした場合賠償金を減額されることがあります。
  しかし、旅行に行くために掛かる経費を参加者が均等割で負担をした場合は誰の好意もないので好意同乗とはなりません。

 これは私が代理店として大手損保会社と話をした時に経験談です。お客さんが会費制でバーベキューを行う際に道中で崖に転落事故をした時、転落した車が加入する保険会社が病院に初めて来た時に「同乗者に減額をする」とベッドの上で伝えたものでしたが、後に会費制であったことが証明出来て好意同乗として減額されることはありませんでした。

ひき逃げに遭った場合

共同不法行為が成立する場合は政府保障事業に請求は出来ません。逃げていない人へ請求をして下さい。上記の場合であればCさんはAさん(Aさん加入の保険会社)に請求して下さい。Aさんは政府保障事業を受けることが出来ます。但し人身傷害保険に加入していて人身傷害保険から補てんを受けられる場合はこの限りではありません。

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